○安達地方広域行政組合救急業務取扱規程
平成10年6月2日
消本訓令第1号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 編成等(第3条―第10条)
第3章 救急活動及び記録等(第11条―第28条)
第4章 救急自動車の消毒等(第29条)
第5章 雑則(第30条―第32条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)に定める救急業務及びこれに付随する業務の実施について、必要な事項を定めることを目的とする。
(1) 救急業務とは、法第2条第9項に規定する救急業務をいう。
(2) 救急活動とは、救急業務を行うための行動又は医療用資器材等を輸送する行動で、救急隊の出場から帰署(所)までの一連の行動をいう。
(4) 医療機関とは、医療法(昭和23年法律第205号)第1条に定める病院及び診療所をいう。
(5) 応急処置とは、救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)に規定する応急処置をいう。
(6) 救急救命処置とは、救急救命士法(平成3年法律第36号)第2条第1項に規定する救急救命処置をいう。
第2章 編成等
(救急隊員の資格)
第3条 救急隊員は、次のいずれかに該当する者のうちから消防署長(以下「署長」という。)が命ずる。
(1) 救急救命士法第2条第2項に規定する救急救命士の資格を有する者
(2) 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)第44条第3項に該当する者
(救急隊の編成等)
第4条 救急隊は、救急自動車(以下「救急車」という。)1台及び救急隊員3名以上をもって編成する。
2 救急隊員の長を救急隊長(以下「隊長」という。)とする。
(救急隊員の任務)
第5条 救急隊員は、救急業務の万全を期するため、次の任務を有する。
(1) 隊長は、救急活動全般に対し他の救急隊員(以下「隊員」という。)を指揮し、救急活動を行う。
(2) 隊員は、積極的に隊長を補佐し、救急活動を行うこと。
(救急救命士の任務)
第6条 第3条の救急隊員のうち救急救命士は、応急処置等及び救急救命処置の実施者として、当該業務を円滑に遂行しなければならない。
(救急隊員の心得)
第7条 救急隊員は、救急業務の特殊性を自覚し、常に身体及び着衣の清潔保持に努めるとともに、傷病者の取扱いにあたっては言語動作に注意し、傷病者にしゅう恥又は不快の念を抱かせないように努めなければならない。
(救急隊員の服装)
第8条 救急隊員の服装は、安達地方広域行政組合消防吏員服制規則(昭和52年安達地方広域行政組合規則第1号)に定める。
(救急車に備える資器材等)
第9条 救急車には、次の各号に掲げる資器材を備えるものとする。
(1) 応急処置等に必要な資器材で別表第2に掲げるもの
(2) 通信、救出等に必要な資器材で別表第3に掲げるもの
(救急車等の整備)
第10条 署長は、救急車及び資器材等を常に安全で清潔な状態に保ち、救急活動に支障を来すことのないよう維持管理しなければならない。
第3章 救急活動及び記録等
(救急隊の出場等)
第11条 署長は、救急事故が発生した旨の指令を受けたとき、又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ、直ちに救急隊の出場を命ずるとともに、重要な事故は、消防長に報告するものとする。
(出場区域)
第12条 救急隊の出場区域は、安達地方広域行政組合消防本部管轄区域とする。ただし、消防相互応援協定に基づく出場、その他消防長が必要と認める時はこの限りでない。
(応急処置及び搬送)
第13条 現場到着と同時に必要な応急処置を施し、傷病者を医療機関又はその他の場所(以下「病院等」という。)へ搬送しなければならない。ただし、傷病の程度により病院等への搬送が必要ないと認めたときは、応急処置のみに止めることができる。
2 傷病者を病院等に搬送したときは、傷病者の症状の経過、応急処置の内容等、所要事項を医師に確実に引継ぎ直ちに帰署しなければならない。
(搬送順位と応急処置)
第14条 救急現場においては、原則として症状の重いと認められる者を優先的に搬送するとともに、必要に応じて一部の隊員を現場に残留させるなど傷病者の保護について配慮するものとする。
2 救急隊員は、現場及び搬送途上において傷病者に対して適切な応急処置を施すものとする。
(医療機関等の選定)
第15条 傷病者の搬送にあたり病院等を選定する場合は、傷病者に配慮した病院等を選定するとともに、当該傷病者及びその家族の意思を尊重するよう努めること。
(警察への通報)
第16条 傷病者の発生が交通事故に起因するもの及び犯罪等にかかわる可能性があるものについては、速やかに警察署に通報するものとする。
(関係者等の同乗)
第17条 救急業務の実施に際し、必要と認めるときは、傷病者とともにその関係者、医師、警察官等を同乗させることができる。
(搬送を拒んだ者の取扱い)
第18条 救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。ただし、事故発生場所の状況及び傷病の程度から判断し、速やかに搬送しなければ病状が悪化し、若しくは身体又は生命に危険があると認められる場合はこの限りでない。
(死亡者の取扱い)
第19条 傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると判断した場合は、これを搬送しないものとする。
(要保護者の取扱い)
第20条 生活保護法(昭和25年法律第114号)に定める被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合は、同法第19条に定める保護実施機関に通知するものとする。
(精神障害の疑いのある者の取扱い)
第21条 精神障害の疑いのある者の取扱いは、救急業務に該当する傷病が認められ、自傷他害の恐れがないと認めるときは、当該傷病に適応する医療機関に搬送するものとし、自傷他害の恐れがあると認めるときは、警察官に同乗を依頼し搬送するものとする。
(感染の恐れがある傷病者の取扱い)
第22条 隊長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条に規定する1類感染症、2類感染症、指定感染症又は新感染症が疑われる傷病者を搬送した場合は、隊員及び救急車の汚染に留意し、直ちに必要な消毒を行い、この旨を署長に報告するものとする。
3 第1項の規定による報告を受けた署長は、速やかに当該診断を下した医師又は保健所長の指示に従い、当該救急隊に対し、清潔方法、消毒方法その他必要な処置を行うよう命ずるものとする。
(医師の要請)
第23条 隊長は、次に掲げる事項に該当すると認めるときは、速やかに救急現場に医師を搬送し、又は医師の出向を要請するものとする。
(1) 救急事故現場において医師の診療又は指示が必要な場合
(2) 搬送することによって症状が著しく悪化する恐れがある傷病者で、医師の診療又は同乗看護が必要な場合
(関係者等への連絡)
第24条 隊長は、必要があると認めるときは、傷病者の家族又は関係者に対し、傷病の程度、状況等を連絡するよう努めるものとする。
(救急業務の記録)
第25条 隊長は、救急活動を行なった場合は、別に定める救急活動記録票等に、活動内容等所要の事項を記録しておくとともに、その旨署長に報告するものとする。
2 隊長は、傷病者を搬送し、病院等に引き渡した場合は、前項に定める記録票等を使用し、当該事実を確認する医師に傷病名、傷病程度等について所見を記入してもらい、署名又は押印を受けるものとする。
(訓練の実施)
第26条 署長は、救急隊員等に対して、救急活動に必要な訓練を計画的に実施するものとする。
(救急事故の即報等)
第27条 署長は、管轄区域において、次に掲げる救急事故が発生した場合は、直ちに消防長に報告しなければならない。
(1) 死者5人以上の救急事故
(2) 死者及び負傷者の合計が15人(交通事故又は急病の場合にあっては30人)以上の救急事故
(3) その他社会的に影響が高いと認められる救急事故
2 消防長は、前項の報告を受けたときは、火災、災害等即報要領(昭和59年消防災第267号消防庁長官通知)に定める火災、災害等即報要領の規定に基づき、災害即報を福島県知事に報告するものとする。
3 消防長は、消防庁長官から救急詳報による報告を求められたときは、救急事故等報告要領(昭和39年自消甲救第18号消防庁長官通知)に定める救急事故等報告要領に基づき処理するものとする。
(救急月報)
第28条 署長は、管内における救急業務について、その月の取扱い状況を救急月報(第1号様式)により翌月5日までに消防長に報告しなければならない。
第4章 救急自動車の消毒等
(消毒及び清掃)
第29条 隊長は、次の各号に定めるところにより、救急車及びその積載品、その他救急用資器材の消毒及び清掃を実施し、常に衛生保持に努めなければならない。
(1) 定期消毒 毎月1回
(2) 使用後消毒 毎使用後
第5章 雑則
(救急搬送証明)
第30条 署長は、搬送した傷病者又はその関係者から救急搬送証明の願出があった場合は、内容を審査し、事実と相違ないと認めるときは、これを証明するものとする。
(災害救助法における救助との関係)
第31条 災害救助法(昭和22年法律第118号)が適用された場合における救急業務は、同法の規定に基づく救助に協力する関係において実施するものとする。
(補則)
第32条 この規程に定めるもののほか必要な事項は、別に定める。
附則
1 この訓令は、平成10年6月1日から施行する。
附則(平成11年消本訓令第4号)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成17年消本訓令第3号)
この訓令は、平成17年12月1日から施行する。
附則(平成18年消本訓令第6号)
この訓令は、平成19年1月1日から施行する。
別表第1(第2条関係)
種別 | 内容 | |
火災 | 火災現場において直接火災に起因して生じた事故をいう。 | |
自然災害事故 | 暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、雪崩、地すべり、その他の異常な自然現象に起因する災害による事故をいう。 | |
水難事故 | 水泳中(運動競技によるものを除く。)の溺者又は水中転落等による事故をいう。 | |
交通事故 | すべての交通機関相互の衝突及び接触又は単一事故若しくは歩行者等が交通機関に接触したこと等による事故をいう。 | |
労働災害事故 | 各種工場、事業所、作業所、工事現場等において就業中発生した事故をいう。 | |
運動競技事故 | 運動競技の実施中に発生した事故で、直接運動競技を実施している者、審判員及び関係者等の事故(ただし、観覧中の者が直接に運動競技用具等によって負傷したものは含み、競技場内の混乱によるものは含まない。)をいう。 | |
一般負傷 | 他に分類されない不慮の事故をいう。 | |
加害 | 故意に他人によって傷害等を加えられた事故をいう。 | |
自損行為 | 故意に自分自身に傷害等を加えた事故をいう。 | |
急病 | 疾病によるもので救急業務として行ったものをいう。 | |
その他 | 転院搬送 | 現に医療機関に収容されている者を当該医療機関から他の医療機関に搬送することをいう。 |
医師搬送 | 救急事故現場等に医師を搬送したものをいう。 | |
医療資器材搬送 | 保育器搬送等、救急現場へ医療資器材等を輸送するものをいう。 | |
その他 | 上記の救急事故に分類不能のものをいう。 |
別表第2(第9条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 体温計 検眼ライト |
呼吸・循環管理用資器材 | 自動式人工呼吸器一式 手動式人工呼吸器一式 心肺そ生用背板 酸素呼吸器一式 呼吸器一式 |
創傷等保護用資器材 | 副子 三角巾 包帯 ガーゼ ばんそうこう 止血帯 タオル |
保温・搬送用資器材 | 担架 まくら 敷物 保温用毛布 雨おおい |
消毒用資器材 | 噴霧消毒器 その他の消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | 氷のう・水枕 臍帯クリップ はさみ ピンセット 手袋 マスク 膿盆 汚物入 手洗器 洗眼器 |
その他必要と認められる資器材 |
別表第3(第9条関係)
分類 | 品名 |
通信用資器材 | 車載無線器 |
救出用資器材 | 救命浮環 救命綱 万能斧 |
その他の資器材 | 保安帽 救急かばん 警笛 懐中電灯 |
その他必要と認められる資器材 |
別表第4(第9条関係)
分類 | 品名 |
観察用資器材 | 血圧計 聴診器 心電計 血中酸素飽和度測定器 |
呼吸・循環管理用資器材 | 経鼻エアウェー 喉頭鏡 マギール鉗子 ショック・パンツ 自動式心マッサージ器 半自動式除細動器 輸液・薬剤セット一式 ラリンゲアルマスク ツーウェイチューブ等 |
通信用資器材 | 救急電送装置(心電図電送装置)自動車電話 |
その他の資器材 | 在宅療法継続用資器材 |
その他必要と認められる資器材 |