岳山と岳(嶽)山のけんか
本宮市(旧白沢村)・大玉村

 昔むかし、岳山という名の二つの山があったそうだ。一つは、玉井村(今の大玉村)に大きな岳山、もう一つは、白岩村(今の白沢村)に小さな岳山があった。

 ある時、一人の旅人が白岩村から玉井村へ旅をして、
「おや、お前も岳山というのか。白岩村にも小さな岳山があったよ。」
と、いったので、玉井村の岳山は、自分だけが岳山だと思っていたのに、もう一つあると聞き、
「なんてこった。岳山とはおれ様だけのことだ。」
と、大層腹を立て怒った。そして、
「おーい。そっちの岳山なんて、小っちゃいくせに、生意気だぞ。おれが、本当の岳山だぞ。」
と、恕鳴った。
 すると、白岩村の小さい岳山も目けずに、
「おれ様だって、岳山だぞ。岳山とは、おれの名前だぞ。」
と、言い返した。また、大きな岳山は、
「なんだと。小さいくせに生意気なやつ。」

 

と、言うと、小さい岳山も、
「なんだと。大きいくせに生意気に何を言っている。」
と、負けずに言い返した。

 そんなやりとりをしているうちに、とうとう、大きな岳山は頭にきて、そばにあった硅石を小さな岳山めがけて投げつけた。小さな岳山も負けていないで、そばにあった地竹を大きな岳山めがけて投げ返した。

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