岳山と岳(嶽)山のけんか
本宮市(旧白沢村)・大玉村

 二つの山は、とうとうけんかになり、しばらくの間、硅石と地竹の投げあいが続いたため、二つの村の間にある村や町には、硅石や地竹がたくさん落ちてきた。

 本宮町では、硅石をさけながら、近くに落ちた地竹をたくさん拾ったので、野菜を買わなくてもすんだほどだという。

 何日も昔日もけんかが続いたので、もう投げる硅石も地竹もなくなってしまうし、二つの岳山は疲れきって、もうけんかをやる気力もなくなってしまった。

 そのうちに、玉井村の岳山が、
 「おーい。お昔の山には、地竹があるで岳(嶽)山、うちの方は、岳山と呼ぶことにするがどうだ。」
と、呼びかけると、白岩村の岳山も、
「よかんべえ。」

 

と、答えたので、けんかもおさまり、それからは、玉井村の岳山を「だけやま」、白岩村の岳山を「たけやま」と、呼ぶようになたそうだ。

 また、そのとき、玉井村の岳山で投げた硅石が、今では白岩村の岳山でとれ、白岩村の岳山で投げた地竹が、今では玉井村の岳山でとれるという。

※硅石=硅岩・主として石英の粒から成る堆積岩またはそれが変成された変成岩。質は緻密で硬く、色は白・灰・赤など。ガラス・耐火レンガ、陶磁器の原料(広辞苑)白沢村の硅石鉱山はすでに廃坑となっている。

※岳山(白沢村)一帯は整備されて管理棟(ふれあい実習館)が置かれ、キャンプ場・釣場もある。頂上には麓山神社が祀られており、当地の白岩の名称の起こりとなった珪石の露出が見られる。

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