鈴石
二本松市

 鈴石神社の西側の道路を上がっていきますと、左側の小高い所に、一本の桜の木、山の神様の石碑、それに鈴石村のシンボルである高さ約二メートルの「鈴石」がかざられてあります。

 だれがどのようにして運んだのか、又、どんな自然現象がおきてあらわれてきたのか、その出現はさだかではありませんが、鈴の形をしていることと、この石の石鳴りが鈴の音のようであった、と相生集にも記録されてあります。

 こんな話が残っています。この石の下を通る村人たちに、いつのころからか、美しい鈴の音色を聞かせてくれていたんだそうです。何年かたったある日のこと、一人の村の着者が好奇心にかられて、この大石の中には何かがあるのではないか、その何かが美しい音を出しているのではないか、何かって何だろうと考えだすといてもたってもいられなくなり、思い切ってあの大石を割って中を調べてみよう……と思いつきました。

 

 さっそく実行にうつすことにしました。村の石屋から大きな槌を借りてきました。若者は以前石屋のてこなどしたことがあるので石目というのがわかります。どこをたたけばこの石が半分にわれるか一目でわかりました。若者は、ふり上げた槌を「えい」とばかり、力をこめて石目をめがけてふりおろしました。「がーん」と、ものすごい大きな音が、まわりの山にこだましました。大石はみごとに二つにわれました。若者はやれうれしやとばかり急いで中を見ました。「なあーんだ。」若者はがっかりしました。すばらしいものがあるのではないかと、期待していたのに、中は音通の石と同じです。「これは、失取したわい。」とぶつぶついいながら、金棒を使ってわれた石を合わせました。

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