機織御前姫と亀石
二本松市(旧安達町)

 二本松城が、まだ塩沢の田地が岡(現・塩沢小学技)に築かれてあった時代というと、14世紀半ば頃のことになります。

 阿武隈川のほとりに、現在も「御庭」といわれている庭園跡があります。かつてここに機織御前姫が住んでいた屋敷があった、といわれています。ここに住む御前姫は、阿武隈川の川向いにある児子山(現・安達町上川崎へ遊びに行くのが大好きでした。

 ところでこの御前姫は、川の流れを越すために、とても大きな亀の背中に乗って楽しんでおりました。

 ある日のことです。二本松城主・安達太郎重忠の子、次郎武時がこの地に遊びにきて、たまたま大亀色に乗った美女を見かけ、たちまち見初めてしまいました。

 

 そして、美女をお城に連れて帰り、自分の妻として迎えました。やがて女児をもうけ、幸福な日々を過ごしておりました。

 ところが、ある時、突然妻は武時に向かって「わらわは人に非ず、天女なり。さらば天に帰らん」というやいなや、さっと空に飛び去ってしまいました。

 そのため乳母は、天女の子(稚児)を連れて、児子山の岩場に舞台を造り、稚児に舞をまわしめながら、母(天女)の帰りを待っていたのでした。

 そんなある日のことでした。いきなり天女御前が舞い降りてくるや、さっと稚児をかかえると、はるか東の空に向かって飛び立って行ったのです。

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