○安達地方広域行政組合火災調査規程
平成8年2月15日
消本訓令第1号
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)について必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 本調査は、火災の原因及び火災により受けた損害を明らかにして火災予防対策及び警防対策に必要な基礎資料を得ることを目的とする。
(1) 調査 火災現場から火災予防を主とする消防行政施策の資料を収集するための質問、現場見分、鑑定、実験等の一連の行動をいう。
(2) 調査員 消防署長(以下「署長」という。)が調査に従事することをその都度指定した職員をいう。
(3) 指定調査員 消防長が調査に関する知識及び技術を有する者のうちから、あらかじめ調査に従事することを指定した職員をいう。
(4) 関係者 法第2条第4項による関係者並びに火災の発見者、通報者、初期消火者及びその他調査の参考人をいう。
(5) 少年 少年法(昭和23年法律第168号)第2条第1項に定める者をいう。
(6) 障害者 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に定める者をいう。
(調査の区分)
第4条 調査は、火災原因調査及び火災損害調査に区分する。
2 火災原因調査は、次の各号に掲げる事項を究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況 火気の使用及び管理状況並びに人的状況
(2) 出火原因 出火箇所並びに発火源、経過及び着火物
(3) 延焼状況 火災の延焼経路及び延焼拡大要因等
(4) 初期消火等の状況 発見の動機、通報及び初期消火の一連の行動経過
(5) 避難状況 避難経路、避難上の支障要因等
(6) 消防用設備等又は特殊消防用設備等の状況 消防用設備等又は特殊消防用設備等の使用及び作動等の状況
(7) 死傷者の状況 死傷者の発生状況
(8) その他必要な事項
3 火災損害調査は、次の各号に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害 熱による炭化、溶融、破損等の損害
(2) 消火損害 消火のため受けた水損、破損、汚損等の損害
(3) 爆発損害 爆発現象による建物等の損害
(4) 火災による死傷者 火災及び消火活動、避難行動その他の行動等により現場等において死亡又は負傷したもの
(少年等に関する特則)
第6条 少年の関係する火災の調査を行うにあたっては、少年の特性にかんがみ、特に他人の耳目に触れないようにし、言動に注意する等温情と理解をもってあたり、その心情を傷つけないように努めなければならない。
2 少年に対する質問は、当該少年の保護者又はこれに代わるべき者(以下「保護者等」という。)を立ち合わせなければならない。
3 前項の規定にかかわらず、年齢、心情その他の事情を考慮して支障がないと認める場合及び当該少年の保護者等を置くことにより真実の供述が得られないと判断される場合は、一般の例によることができる。
4 障害者の関係する火災の調査にあっては前3項を準用する。
5 外国人の関係する火災の調査を行うにあたっては、通訳人を置いて行うことができる。
(調査責任)
第7条 署長は、管轄区域内の火災調査の責任を有する。
2 通行中の車両、航行中の船舶の火災については火災防御した場所を管轄する署長が、航空機の火災については墜落場所、火災発生場所を管轄する署長とする。
(体制の確立)
第8条 消防長及び署長は、調査に必要な調査用器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。
2 署長は、火災種別及び規模その他被害状況を勘案し、調査を機動的かつ効果的に実施するため、消防長に調査本部の設置及び指定調査員の派遣を要請することができる。
(調査本部の設置)
第9条 消防長は、前条第2項の規定により署長から調査本部の設置を要請された場合、特に必要があると認めるときは調査本部を設置することができる。
2 調査本部の長(以下「本部長」という。)は、消防長とする。
3 前項の調査本部の組織、編成等についての必要事項は、その都度本部長が定める。
(調査本部の解散)
第10条 本部長は、調査が終了したときは調査本部を解散する。ただし、調査の進行状況によっては、調査終了前であってもこれを解散することができる。
2 前項ただし書きにより調査本部を解散したときは、署長は本部長から調査方針等の指示及び関係資料の引継ぎを受け、引き続き調査を行わなければならない。
(指定調査員の資格)
第12条 消防長は、次のいずれかに該当し、かつ係長又は消防司令補以上の階級にある職員を指定調査員と指定するものとする。
(1) 火災調査に関する研修課程を修了した職員
(2) 調査に関する実務経験が5年以上の職員
(3) 前各号に掲げる職員のほか消防長が火災原因調査に関し必要な知識を有すると認める職員
(指定調査員の心得)
第13条 指定調査員は、火災原因調査に関する事務を統括し、指揮するものとする。
2 指定調査員は、第15条に定める調査主任と連絡及び調整その他火災原因究明に必要な情報交換を行うものとする。
(調査の実施)
第14条 署長は、管轄区域内に火災を覚知したときは、直ちに調査に着手しなければならない。
2 署長は、火災の規模、焼損物件の堆積状況その他火災現場状況に応じて調査員及びその人数を判断し調査に従事させなければならない。
(調査主任の指定等)
第15条 署長は、調査員のうちから調査主任を指定し、調査に係る事務を執らせるものとする。
2 署長は、調査主任に調査に係る事務の進捗状況を適宜報告させるとともに、事務が滞っているときは助言又は指導し円滑な事務を執らせるものとする。
(調査主任の資格)
第16条 前条の調査主任は、係長又は消防司令補以上の階級にあり、かつ、次のいずれかに該当する職員でなければならない。ただし、社会的影響が少ない事案についてはこの限りでない。
(1) 火災調査に関する研修課程を修了した職員
(2) 調査に関する実務経験が3年以上の職員
(3) 前各号に掲げる職員のほか署長が調査事務に関し必要な知識を有すると認める職員
(調査主任の心得)
第17条 調査主任は、事前に収集された情報を分析整理して、当該火災の特徴及び問題点を把握し、消防行政上に必要な火災の調査が実施できるよう努めなければならない。
2 調査主任は、効果的な火災調査の実施ができるよう関係者及び各関係機関との連絡及び調整その他火災原因究明に必要な情報収集を行わなければならない。
3 調査主任は、具体的な調査計画を立て、任務分担を明確に指示し、現場調査、質問調書その他必要な書類の作成が速やかに行われるよう調査員に指示しなければならない。
4 調査主任は、第11条の規定による指定調査員が派遣された場合は、指定調査員と連絡及び調整その他火災原因究明に必要な情報交換を行わなければならない。
(調査員の心得)
第18条 調査員は、火災現象、関係法令等調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。
(1) 調査員は、調査員相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるように努めること。
(2) 調査員は、調査に際し関係者の民事的紛争に関与しないように努めるとともに個人の自由・権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。
(3) 調査員は、関係のある場所へ立ち入るときは、原則として関係者の立会いを得ること。
(4) 警察機関、その他の関係機関とは密接な連絡をとり相互に協力して調査を進めること。
(5) 調査員は、現場調査及び質問調書その他必要な書類作成を速やかに行わなければならない。
(調査の原則)
第19条 調査は、事実の確認を主眼とし、先入観念にとらわれることなく科学的な方法による確認と合理的な判断の上に立ち事実の立証に努めなければならない。
(火災現場の見分)
第20条 消防隊員及び調査員は、火災現場に出場したときは、消火活動中における火煙の色、臭い、燃焼音、延焼経路、その他関係者の言動等を見聞したときは、現場指揮者に報告しなければならない。
2 調査員は、火災現場を見分し、火災原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。この場合、原則として関係者の立会いのもとに行う。
3 火災状況の見分は、その内容を明確にするため、写真により記録するよう努めなければならない。
4 調査員は、実況見分、関係者に対する質問等による事実等に基づき必要に応じ現場の復元を行うよう努めなければならない。
(現場の保存)
第21条 署長は、消火活動が終了したときは所要の措置を講じた上で現場を保存しなければならない。ただし、調査上その必要がないと認めたときは、この限りでない。
(死者が生じている場合の扱い)
第22条 署長は、火災現場において死者を発見した場合は、所轄警察署長に通報するとともに、必要な措置を講じなければならない。
(質問調書の作成)
第23条 調査員は、関係者に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。
3 第6条の規定に基づく被質問者に対する署名は、保護者等に求めるものとする。
4 前2項の関係者が署名を拒否したとき又は困難なときは、その旨を質問調書に記載しておくものとする。
(火災情報等受信調書の作成)
第24条 調査員は、調査のため必要があると認める事項の情報の発信を受けた場合は、火災情報等受信調書(第5号の2様式。以下同じ。)にその内容を記録するとともに、情報発信者の人定を明らかにしておかなければならない。
2 消防隊員は、火災現場又はその他の場所において関係のある者から調査上特に参考になると思われる事項の情報の発信を受けたときは、火災情報等受信調書にその内容を記録するとともに、情報発信者の人定を明らかにしておかなければならない。
(照会)
第25条 署長は、必要があるときは関係機関に対し、必要な事項の通報を求め、または火災調査事項照会書(第6号様式)により照会することができる。
(資料の収集・保管)
第26条 署長は、調査のために必要と認めるときは、関係のある者に対し、資料提出書(第7号様式)により資料の任意提出を求めることができる。
4 資料提出者が、資料の返還を求めるときは、調査完了した後資料保管書と引き換えに、資料保管返還書(第13号様式)により返還しなければならない。
(鑑定)
第27条 署長は、火災原因調査に必要があるときは、公的機関等に鑑定依頼書(第14号様式)により依頼することができる。
2 調査員は、次の書類を作成しなければならない。この場合火災の程度が軽易なもので、消防行政上支障がないと署長が認めるときは、書類の一部を省略することができるものとする。
(1) 書類目録(第16号様式)
(2) 火災原因判定書(第17号様式)
(3) 実況見分調書(第18号様式)
(4) 火災出場時における見分調書(第19号様式)
(5) 第23条に規定する質問調書
(6) 第24条に規定する火災情報等受信調書
(7) 第5条に規定するり災届出書
(8) 損害調査書(第20号様式)
(9) 防火管理等調査書(第21号様式)
(10) 火災記録写真説明書(第22号様式)
(11) 死傷者調査書(第23号様式)
(12) その他火災原因の判定、損害額の認定の根拠となった資料を添付するものとする。
3 署長は、前項の火災調査報告書を速やかに消防長に報告しなければならない。
(原因の判定)
第29条 火災原因の判定は、調査主任が火災の実況見分、質問、その他の関係資料等を総合的に検討し、判定するものとし、物的調査、人的調査その他の原因判定に必要な調査資料により裏付けを要するものとする。
(即報)
第30条 署長は、火災の状況についてその概況を消防長に即報しなければならない。
(火災損害調査)
第31条 火災損害調査は、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めなければならない。
2 損害額は、火災報告要領に基づき算出するものとする。
(り災証明)
第32条 り災に関係ある者からり災証明書の交付申請があった場合は、当該火災の焼損状況等の事実に基づき、り災証明書を交付することができる。
(調査の応援等)
第33条 消防長は、火災原因調査に係る相互応援協定(平成11年12月27日締結。以下「応援協定」という。)に基づく応援の要請があったときは、指定調査員を派遣するものとする。
2 消防長は、応援協定に基づく応援を求める必要があると認めるときは、速やかに応援の要請をするものとする。
(書類の保存)
第34条 火災調査報告書は、安達地方広域行政組合文書取扱規程(平成6年安達地方広域行政組合訓令第3号)に基づき保存するものとする。
(委任)
第35条 この規程について必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この訓令は、平成8年4月1日から施行する。
附則(平成19年消本訓令第7号)
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成22年消本訓令第3号)
この訓令は、平成22年4月1日から施行する。
附則(平成28年訓令第1号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附則(平成29年消本訓令第3号)
この訓令は、平成30年1月1日から施行する。
附則(令和元年消本訓令第1号)
この訓令は、令和元年7月1日から施行する。
附則(令和3年消本訓令第2号)
この訓令は、公布の日から施行する。