あだち野の里の豆まきの話
二本松市(旧安達町)・安達地方

 あだち野の里で、節分に豆をまかない家に(全国的と思うが)渡辺家がある。

 その昔、源頼光の四天王の一人である渡辺綱が、羅生門に住む鬼と戦い、その片椀を切り落とし退治した話(能・信光作)から、鬼より強い渡辺ということで豆まきはしなくともよい風習になったといわれている。

 二本松を中心としたこの地方の豆まきの掛け声は、「福は内、鬼は外。」でなく、「福は内。おにー外。」である。

 江戸時代の二本松城主(二本松藩・十万石)は丹羽(にわ)氏であった。自分たちのお殿様を外へ追いやる様なことは言わずに、「おにー外」と言い始めたのであろう。明治になって百三十年以上にもなるが今でも、「福は内、おにー外。」とまく家は多い。

 

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